私とカウンセラーを結びつけてくれたのは、1冊の本でした。
それは、ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」です。
私はこの本に強烈に感銘を受けたんですね。
「夜と霧」では、ナチスによる地獄のような強制収容所での生活が描かれています。
その中で印象に残ったことなのですが、収容所内の多くの人は、何の根拠もなく、クリスマスになればここから出られると一縷の望みを持っていました。
しかし、クリスマスが過ぎても何も事態は変わらず、唯一の希望を失った多くの収容者が1944年12月25日から1945年1月1日の間に大量死したのです。
一方、フランクルは「いつかここで起きたことを本に書いたり、講演で話す」という強い意志を持ち続けていました。
やがてその願いは叶い、彼の書いた本は世界的なベストセラーになり、各国を講演のために飛び回ることになりました。
クリスマスに亡くなった人たちも、フランクルも、共通していたのは、心の奥底で感じたことが現実化したということです。
これを読んでいる方で、「社会のせい」とか「国が悪い」とか、「環境によって人生が全部決まる」と言う人がいたら、お伝えしたいです。
その理屈で言えば、劣悪な収容所にいた全員が死んでいたはずですよね?
でも、生きのびた人もいた。
その違いは何か?
それは、「心の在り方」です。
そう考えたら、心理を学び、それを人に伝えることは、人の命を救うこともできる。
そう思ったのです。
だから僕は、人の心理と接することのできるカウンセラーという仕事を選ぶことにしたのです。